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「嫌だ」がどうして届かない~性的同意と司法の今

 海外ではどのようにして性暴力をなくそうとしているのでしょうか。スウェーデンは世界でも性犯罪に厳しい態度で臨んでいることで知られています。弁護士で北欧の性犯罪規定に詳しい齋藤実・琉球大教授は、「日本も被害者の声を十分配慮した法規制をつくるべきだ」と話します。

【連載】「嫌だ」がどうして届かない ~性的同意と司法の今

 「性的同意」をめぐる司法の判断が揺れ続けています。背景にある考えや法制度の課題、社会に浸透する性交観などについて、識者らに聞きました。

北欧の性犯罪規定に詳しい齋藤実・琉球大教授

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齋藤実教授=本人提供

 不同意性交罪は何のためにあるのか。個人の性的な自由や自己決定権を守るためです。

 日本は2023年の刑法改正で、強制性交罪と準強制性交罪を統合し、同意のない性行為は処罰対象だというメッセージを示しました。

 暴行、脅迫だけでなく、恐怖や不利益の憂慮などで同意していない意思を伝えることが難しい場合も処罰対象になる、と明確化したことは大きな前進でした。だが今は性被害を十分に救済できているでしょうか。

 スウェーデンは18年の刑法改正で「同意のない性交は処罰対象(No means No)」型の性犯罪規定からさらに踏み込み、Noという意思表示がないことはYesではない、相手が自発的に性行為に参加したことを確認せずに性行為に及んだ場合は処罰対象とする「Yes means Yes」型にしました。

 さらに日本の「同意誤信」に…

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