「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国は世界の半分以上を占めるが、非民主的な国々も少なくない。米トランプ政権復活の影響を大きく受けるのは、これらの国々で専制にあらがう民主派だろう。
トランプ前大統領は独裁者や強権的指導者とのディール(取引)を好む。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記や、フィリピンのドゥテルテ前大統領、ブラジルのボルソナーロ前大統領らをたびたび称賛してきた。カンボジアで息子への世襲を進めたフン・セン前首相もその一人だ。
トランプ前政権が発足した2017年、カンボジアでは最大野党が解党され、党首が逮捕された。米国の支援を得て国家転覆を謀った疑いをかけられた。翌18年の総選挙はフン・セン氏の与党が全議席を独占した。
中国への傾斜を強めるフン・セン氏にトランプ氏は19年、突然秋波を送った。「主権者であるカンボジア国民の意思を尊重し、体制転換は求めない」。予想外のお墨付きを得たフン・セン氏はコロナ下の20年に「恩返し」をする。乗客らの感染が疑われた、米社運航のクルーズ船の入港受け入れを、日本など各国が拒否する中で表明。トランプ氏は「美しい国カンボジア、ありがとう」と感謝した。
【連載】トランプ再来 解説と展望
米大統領選で共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が返り咲きました。「米国第一主義」を掲げるトランプ氏の再来は、米国に、日本に、世界に、どんな影響をもたらすのか。海外特派員や編集委員が展望します。
野党キャンドルライト党の幹…