日本M&Aセンターホールディングスの三宅卓社長=2024年9月30日、東京都千代田区、多鹿ちなみ撮影

 短期間に多くの中小企業を買収した一方で、子会社の離脱や生産・営業の停止も相次ぐ旧MJG(現・日本製造)。M&Aの前後に買収先から多額の資金を引き出し、それを同じ会社の買収資金や仲介手数料にあてていた手法も明らかになった。

 MJGの買収を数多く仲介した日本M&Aセンターホールディングスの三宅卓社長(72)が取材に応じ、同社の仲介案件に「資金目当てのM&A」があり、不適切だったと認めた。社内ルールを見直して再発防止を徹底し、業界にも普及させたい考えを明らかにした。

 ――MJGではM&Aの手法に批判が出ているほか、子会社の離脱や生産・営業の停止もめだちます。十数社分のM&Aを手がけた仲介業者として、どう受け止めていますか。

 「すごい危機感を持っている。会社にはオーナー社長はもちろん、働く従業員やその家族の人生も紡がれている。譲渡企業とそこに関わる人たちが不幸になることは、あるべきM&Aの姿と乖離(かいり)するし、絶対にあってはならない」

 「売り手も買い手も、社員とその家族もみんながハッピーになれて、初めてM&Aは成功だと言える。今回はそうなっていない」

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「ターニングポイントを見抜けなかった」

 ――MJGの買収手法は、どこが問題だったと考えていますか。

 「MJGの事案は途中で狂っ…

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