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 国際的に長く孤立し、「隠者の王国」とも呼ばれる北朝鮮。昨年秋から兵士を派遣したロシアとの交流が活発化する一方、トランプ米大統領は金正恩(キムジョンウン)総書記との会談を希望している。金正恩氏は今月、中国を約6年ぶりに訪問し、北京で抗日戦争(日中戦争)の勝利から80年を記念する式典に出席した。北朝鮮の最近の動向を詳しく分析すると、裏にある事情が読みとれ、都合の悪い事実には触れていないこともわかる。

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2025年9月3日、中国・北京の天安門広場に向かって歩く北朝鮮の金正恩総書記(前列右)と中国の習近平国家主席(同中央)、ロシアのプーチン大統領(同左)。朝鮮中央通信が報じた=朝鮮通信
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 北朝鮮の朝鮮中央テレビは8月22日と30日の2回に分け、ロシアで戦死した兵士たちの国家表彰授与式が行われたと報じた。英雄称号や金星メダル、国旗勲章第1級がそれぞれ遺族に授与された。金正恩氏は、平壌に戦死者をたたえる「セッピョル(輝く星)通り」を造り、記念碑を設置するとともに、遺族の子弟を革命学院(平壌にある万景台(マンギョンデ)革命学院など)に通わせると約束した。

 韓国の情報機関、国家情報院は9月2日、戦死者は2千人を超すと国会に報告した。ロシアへ派遣した兵士たちに死傷者が相次いだことから、北朝鮮当局としても何らかの対応を迫られたようだ。

金正恩氏が触れなかった「戦死の理由」

 ただ、北朝鮮兵士の死亡は春…

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