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 プロ野球・千葉ロッテマリーンズの小島和哉(27)には、忘れられない夏がある。浦和学院(埼玉)の2年生エースとして春夏連覇をめざした2013年の第95回全国高校野球選手権記念大会1回戦。無念の途中降板を「熱中症だった」と振り返る。その教訓を生かして、プロのマウンドに上がる。

 大会第3日、仙台育英(宮城)との第4試合(1回戦)は、日が傾きかけた午後4時35分に始まった。うだるようなマウンド上の暑さをよく覚えている。

 「とにかく、めちゃめちゃ蒸し暑かった。サウナみたいにムンムンしていて、地面からも暑いっていう感じでした」

 一回、三つの押し出しを含む5四死球と3安打でいきなり6点を献上した。

九回裏、赤に染まる浦和学院スタンドを背にマウンドに立つ小島和哉=2013年8月10日、阪神甲子園球場、矢木隆晴撮影

 「単純な技術不足だったり、僕の不安だったりがそのまま出てしまった」

 選抜王者としての重圧や大観衆に囲まれる緊張感、そして暑さが絡み合い、変調につながった。

 二回からの4イニングは無安打ピッチングと立ち直ったかのように見えたが、六回に4失点を喫した。10―10の同点とされた。

 このころ、熱中症の症状がはっきりと表れ始めた。力を込めて直球を投げるたびに、軸足である左の太ももとふくらはぎがつったような感覚があった。下半身の力が伝わらず、生命線である内角への直球も浮いていた。

治らなかった左足の「つり」

 「1球ごとに、足のつりがなくなるまで歩きながら伸ばしていた」

 体力自慢の17歳にとって、熱中症は初めての経験だったという。

 九回、2人目の打者に1球目を投じた際に左足が限界を迎えた。

 「戻らなかったんすよ。歩いても歩いても」

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