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オンラインで行われた審問に出席するセペダ被告。チリ司法府がツイッターなどで中継した=2020年6月26日午後2時56分、ツイッターから

 筑波大学からフランス東部ブザンソンに留学していた黒崎愛海(なるみ)さん(当時21)が2016年に行方不明になった事件で、フランスの最高裁に当たる破棄院は26日、殺人罪に問われたチリ人の元交際相手ニコラス・セペダ・コントレラス被告(34)に禁錮28年を言い渡した控訴審判決を破棄し、審理を差し戻す決定を下した。仏メディアが同日に報じた。

 仏紙パリジャンによると、破棄院は、控訴審で証人として出廷した警察官が一審では明らかにしなかった捜査資料を使ったことやその資料について事前に弁護側に知らせていなかったことが、被告の利益を侵害する可能性があると判断した。今後やり直しの裁判が開かれることになるという。

 一昨年12月にブザンソン近郊の裁判所で開かれた控訴審で、セペダ被告は一審と同様に無罪を訴えた。仏メディアによると、検察はセペダ被告が新しい交際相手ができた黒崎さんへの「病的な嫉妬心」に駆られて、南米チリから黒崎さんを殺害するためにフランスに来たと主張。裁判所と陪審員は判決で、セペダ被告が事前に計画を立てた上で、黒崎さんの殺害に及んだと認定した。

 セペダ被告は、16年12月、チリからフランスを訪れて、夕食後に黒崎さんの寮に一緒に戻ったとされる。黒崎さんはその後に行方不明となり、今も見つかっていない。

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