「雨露をしのぐ」ための住宅は、建築の基本形といえる。いま、そうしたモダニズム(近代主義)の住宅建築を紹介する大小の展覧会が東京で開かれている。各展が問うのは、それら住宅建築やそれを構成する箱形の空間の今日性だ。

 イタリアで開催中の世界最大規模の建築展、ベネチア・ビエンナーレ国際建築展の開幕会見で、総合ディレクターの建築家カルロ・ラッティさんは18世紀フランスで描かれた「原始の小屋」の図版を示した。地球温暖化などの課題に建築がいかに取り組むかを問う同展において、4本の掘っ立て柱と切り妻屋根によるシンプルな家形の姿は、自然とつながりつつ、そこから人間を守る建築や住宅の原点として示されたのだ。

 東京・六本木の国立新美術館「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s―1970s」展の会場入り口には、横長の連続窓が作られ、そこから展示会場が一望できる。モダニズムの巨匠ル・コルビュジエによる「ヴィラ・ル・ラク」(1923年)の窓を再現したものだ。横長の連続窓はモダニズム建築の特徴の一つで、会場ではこの住宅をはじめ、ルイス・カーンやアルヴァ・アアルト、藤井厚二、土浦亀城らによる14の名住宅建築の模型や図面、写真を中心に紹介され、相互に比較できる。

横長の連続窓から会場が見渡せる「リビング・モダニティ」展

 各住宅の紹介とともに、「窓…

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