現場へ! サッカー不毛の地は今(1)
大型スクリーンに映し出されたスタンドの子どもたちが、DJのかけ声に合わせてダンスを踊る。
6月8日、米中西部カンザス州カンザスシティー。メジャーリーグサッカー(MLS)、スポルティング・カンザスシティーとシアトル・サウンダーズの試合に足を運んだ。
空席が出ないよう、あえて小さめに造ったという約2万人収容のカンザスシティーのスタジアムはほぼ満員。「我々が意識しているのは、ファンをいかに楽しませるかだ」。クラブの広報担当、カート・オースティン氏は言った。
選手入場の際にはピッチ上に花火が置かれ、ボルテージを高める。試合前の円陣にカメラを持ったスタッフが入り、SNSなどで発信する映像や写真を撮影する。欧州や日本のJリーグではなかなか見られない光景だ。大リーグ(MLB)やバスケットボール(NBA)など、米国の他のプロスポーツの演出方法を参考にしているという。
米国はMLBなど4大スポーツが人気で、かつては「サッカー不毛の地」と呼ばれた。1967年に「北米サッカーリーグ(NASL)」が設立。ブラジルの英雄ペレら世界の一流選手を集めたが、人気が一部のチームに偏るなどして経営に行き詰まり、85年に解散した。94年のワールドカップ(W杯)米国大会を機に、2度目の挑戦として96年にスタートしたのがMLSだった。
「我々も着実に人気を得てい…