トランプ米政権がイランの主要な核施設への空爆に踏み切りました。核開発問題の交渉による解決を目指してきたトランプ氏の決断にはどんな狙いがあるのか。また、イランはどう対応し、今後の核不拡散体制にどんな影響が出るのでしょうか。専門家3人に聞きました。
明海大の小谷哲男教授には米国による攻撃の正当性などについて、東京外国語大の松永泰行教授にはイランが直面する現状をめぐって、秋山信将・一橋大教授には核不拡散体制の今後などについて、それぞれ見方や分析を聞きました。
国際法上の根拠乏しい米攻撃 小谷哲男・明海大教授
トランプ政権によるイランへの攻撃は、国際法上の根拠に乏しい。イランが核保有に踏み切ったと客観的に言える証拠はなく、米国が主張する「差し迫った脅威」があるとは言えない。米国が、仮にイランの将来的な核保有を阻止したかったのだとしても、「予防攻撃」は国際法では認められていない。
2003年に始まったイラク戦争で米国は(イラクに大量破壊兵器が存在するという)誤った情報を元に戦争に突き進んだ。当時の米国は、少なくとも国連安全保障理事会の支持を得る努力はしたが、今回はそのような努力をするそぶりすらなかった。
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米国では憲法上、宣戦布告の権限は連邦議会に与えられており、他国を攻撃する場合は原則的に連邦議会の承認が必要だ。今回はそうした手続きは踏んでおらず、国内法的にも問題がある。
国外での紛争に巻き込まれた…