テヘラン中心部にあるグランドバザールの通路を埋める買い物客=2025年5月1日午前11時55分、大野良祐撮影

 米国とイランの間でイラン核開発問題に関する協議が始まったことで、経済苦境にあるイランでは両国間の緊張緩和や米国の対イラン制裁の解除につながることへの期待が膨らんでいる。しかし、両国高官協議は3日にイタリア・ローマで予定されていた4回目が延期になり、先行きは見通せない。

 イランの週末に入った1日、首都テヘラン中心部のグランドバザールは、買い物客であふれかえっていた。生活に欠かせない品々が、スーパーよりも少し安く買えるからだ。消費者物価指数はこの1年で4割近く上がった。通貨下落で輸入飼料が高騰し、食肉の値上がりが目立つという。複数の買い物客が「肉を食べる回数を減らしている」と話した。

通貨価値は対ドルで16分の1に

 イラン経済は、核開発制限の見返りに制裁が緩和されたイラン核合意(2015年)から米国が一方的に離脱した18年以降、米国の制裁再開で落ち込みが激しい。18年前半までの通貨リアルの対ドル実勢レートは6万ほどだったが、下がり続けて昨夏に60万、今年トランプ大統領が返り咲いてイランへの「最大限の圧力」政策の再開を宣言すると、4月初旬にはとうとう100万を突破した。

 それが、4月12日に米イラン協議が始まると、リアルは2割上昇。株価もここ数カ月での最高値をつけ、落ち込む通貨を金に換える動きにブレーキがかかったのか、金の価格は2割下落した。

 為替変動が商品価格に比較的…

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