フィリピン最北部に配備された米軍の対艦ミサイル「ネメシス」の発射装置=2025年4月26日、バタネス州バスコ、フィリピン軍提供

 米軍が軍事演習に合わせてフィリピンに導入した中距離ミサイルシステム「Typhon(タイフォン)」と地対艦ミサイル「NMESIS(ネメシス)」が、事実上の常設態勢に入っている。比軍は今後も国内にとどめると明言。台湾や南シナ海をめぐり、海からの圧力を強める中国への抑止力強化が狙いだが、周辺国を巻き込み、議論が熱を帯びている。

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 6月1日、米比海兵隊が台湾に近いフィリピン最北部で実施した合同演習。実射は見送られたが、ネメシスを活用し、海上への攻撃を想定したシミュレーションを行った。比軍のパディリャ報道官は報道陣に対し、「ネメシスは敵の上陸作戦への対応能力として有用。今後も訓練の機会がある限り、国内にとどまる」と明かした。

フィリピン軍のパディリャ報道官=2025年6月24日、マニラ首都圏のビリヤモール空軍基地、大部俊哉撮影

 米国の232倍に上るともいわれる造船能力などを背景に、海から迫る中国の脅威は膨張を続けている。同盟国の米国とフィリピンは、日本やオーストラリアとも連携して巻き返しを図るが、圧倒的な海上戦力を前に、劣勢を強いられている。

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