政治評論家のオレクサンドル・コチェトコウ氏

 ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、「戦争を止める」とするトランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と交渉を始めることで合意しました。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナの頭越しに米ロ協議が進むことを強く警戒する一方、停戦のための話し合いには前向きです。交渉への動きは、ウクライナ国内ではどう見られているのでしょうか。1990年代に同国大統領府で広報官を務め、メディアでコメンテーターとして活動する政治評論家のオレクサンドル・コチェトコウ氏に聞きました。

 ――ゼレンスキー氏は米国に対し、ロシアとの協議の前にウクライナと侵攻を止める手段で合意すべきだと主張していますが、停戦交渉そのものは否定していませんね。

 ウクライナ軍が反転攻勢に出た2023年、ゼレンスキー政権は領土から侵略者を追い出すことができるという期待を持っていました。今はずっと冷めた目で戦況を見ています。ウクライナ軍が人員不足に陥っていることが理由です。武器の支援は受けているが、兵士たちの士気は落ちている。

  • ウクライナが譲れない「絶対条件」とは何か トランプ外交との狭間で
  • 「まずウクライナと計画策定を」ゼレンスキー氏、米ロ交渉に不満

 反転攻勢の失敗でゼレンスキー氏の考えは変わりました。彼の姿勢を最終的に変えさせたのは、ロシアが絶え間なく攻撃を続けた昨年後半の前線の状況でしょう。昨年8月にウクライナ軍がロシア南西部クルスク州への攻撃に着手したのも、当初こそロシア側の(ウクライナ領土内での)攻撃を弱めさせるためでしたが、やがて交渉材料として使えるという考えが出てきました。

■交渉の主体はウクライナでな…

共有
Exit mobile version