米国の首都ワシントンで21日夜、イベントが開かれていたユダヤ博物館近くで銃撃があり、イスラエル大使館職員の男女2人が死亡した。発砲したとみられる男(30)は現場で拘束された後、「フリー・パレスチナ(パレスチナに自由を)」と叫んだという。

 警察当局の発表によると、事件は午後9時すぎに発生。米シカゴ出身のイライアス・ロドリゲス容疑者の身柄を拘束した。単独犯とみられ、動機は現時点では不明だという。銃撃を受けた男女2人は救命措置を受けたが、死亡が確認された。

米首都ワシントンで2025年5月21日、イスラエル大使館員2人が射殺された現場で活動する警察官ら=ロイター

 容疑者は博物館近くで銃を取り出し、イベント会場から出てきた4人のグループに近づいて発砲した。その後、博物館内に入り拘束された後、「フリー・パレスチナ」と繰り返し叫んでいたという。

 CNNが報じた目撃者の証言によると、容疑者は事件後に目撃者のふりをして、自ら警備員に「警察を呼んで欲しい」と頼んだ。10分ほどで警察が到着すると、自ら犯行を認め、「自分がやった。ガザのためにやった。フリー・パレスチナ」と叫んだという。

 トランプ大統領は自身のSNSに「明らかな反ユダヤ主義に基づく、このような首都での殺人事件は、いますぐ止めなければならない! 憎しみと過激主義は、米国に存在すべきではない。犠牲者の家族にお悔やみ申し上げる。このようなことが起きるとは、とても悲しい! 皆に神のご加護を!」と投稿した。

 イスラエルのネタニヤフ首相は22日の声明で、在外公館と職員の安全対策を強化するよう指示したと明らかにし、「反ユダヤ主義とイスラエルへの激しい扇動がもたらす恐ろしい代償を目の当たりにしている」と非難。イスラエルに対する攻撃は「血の代償を伴う」とし、「断固として戦わなければならない」と強調した。

 イスラエルが激しい攻撃を続けるガザ情勢をめぐっては、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のジェニンで21日、イスラエル軍が、立ち入り禁止区域に入ったためだとして日欧などの外交団に警告射撃を行い、国際社会で非難が相次いでいる。

 事件が起きたユダヤ博物館の…

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