日本の進路を選ぶ(3)編集委員・佐藤武嗣
「ウクライナは明日の東アジア」「台湾有事は日本有事」――。岸田文雄前首相や安倍晋三元首相は、誇張気味に危機感を内外に発信し、防衛力強化に邁進(まいしん)してきた。
北朝鮮の核・ミサイル開発、中国軍機による初の日本領空侵犯など、日本周辺の安全保障環境は、確かに悪化している。中国への抑止力として、日米による一定の防衛力強化は必要だろう。
ただ台湾で米中が衝突すれば何が起きるか、想像力が必要だ。米国は米本土に戦禍が及ばぬよう戦略を練る。一方、米軍の出撃拠点が攻撃されれば、日本は戦場と化す。
防衛力さえ強化すれば、日本…