日米関税交渉をめぐり、政府が米側に対し、米企業の半導体製品を数十億ドル分購入する提案をしていることがわかった。買い手の日本企業には補助金を出す。輸入額が数千億~1兆円規模にのぼる可能性があり、日本に対して約10兆円ある米国の貿易赤字削減につながる「交渉カード」としてアピールする。
政府関係者によると、日本側はこれまでの交渉で、米半導体大手エヌビディアの製品を念頭に、数十億ドル単位を輸入する案を米側に提示した。同社はAI(人工知能)の開発に必要なデータセンター(DC)向け半導体で8割のシェアを握るとされる。政府は、DCを運用する日本の通信会社やIT企業などに対して、補助金を出して購入を後押しする考えだ。
米国の半導体企業は、開発・設計に強みがある一方、台湾企業に製造を任せるケースが多く、中国との有事の際には供給が滞るリスクを抱える。トランプ大統領は、国内での半導体製造を優先課題に掲げる。日本は米側に対し、半導体の製造に欠かせないウェハーや化学薬品などを米国内で製造する際の支援策も提案した。日米でサプライチェーン(供給網)を強化することが、経済安全保障の確保にもつながると訴える。
これまで関税交渉では、①両…