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 ウクライナ侵攻を続けるロシアから原油の輸入を続けるインドに対し、トランプ米大統領は6日、25%の追加関税を課す大統領令に署名した。7日には25%の相互関税も発動され、インドの税率は計50%となる見通しだ。相互関税を巡り、早々にディール(取引)に至るとみられた両国は、約半年にわたる交渉の過程で次第に関係をこじらせていった。

 「直接、非直接的にロシアから原油を輸入しているインドに、追加の関税を課すことが必要かつ適切だと判断した」。トランプ米政権は6日の声明にそう記した。トランプ氏は7月30日にSNSで、インドが高い輸入関税や、厳しい非関税障壁を設けていると指摘。武器の購入もロシアに頼っているとし、「全てがよくない!」とインドを非難していた。

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米国の首都ワシントンで2025年2月13日、握手するトランプ大統領(右)とインドのモディ首相=ロイター

 これに対してインド政府は、ロシア産原油の購入は「エネルギー分野における安全保障を確かにするため」だと反論。インド以外にもロシアから原油を買っている国はあるとし、米政権の措置が「不公平、不当、不合理だ」と批判している。

 米印は、軍事・経済面で影響力を高める中国に対抗するため、近年は急速に関係を深めていた。

 インドのモディ首相とトランプ氏は2月に、米ワシントンで会談し、インドが米国産石油・天然ガスや、米国製武器の購入を拡大することなどで合意。モディ氏は、二国間貿易を2030年までに倍以上に増やすとも述べた。両首脳は個人的な関係の良好さもアピールし、両国の関税交渉は早期に妥結するとの観測が広がっていた。

 ところが、実際には関税交渉は難航した。小麦や乳製品といった農産物の市場開放に、インドが難色を示したためだ。

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