20日に台湾で開かれた民進党の頼清徳(ライチントー)・新総統の就任式に、米国は超党派の元政府高官らによる派遣団を送り、「米国民の祝意」を示した。ただ、総統が入れ替わるのを機に中台関係が不安定化するのは米国としても望ましくない事態で、米国は新政権に対しても、繰り返し自制を求めてきた。
米国は就任式に向けて、新政権に働きかけを図ってきました。記事後半では、11月の米大統領選でトランプ前大統領が再選された場合に考えられる影響についても紹介しています。
ブリンケン米国務長官は声明を出し、頼氏の就任を祝福した。「頼総統と共通の利益や価値を推進し、長年の(米台の)非公式の関係を深め、台湾海峡の平和と安定を維持するために協力することを楽しみにしている」と述べた。
根深い米中対立の構図が続くなか、米国は中国による台湾侵攻を懸念し、台湾への武器売却や台湾軍の訓練などの防衛協力を深めてきた。だが、台湾が中国を刺激するような動きを見せれば、中国側に口実を与えることにもなりかねず、あくまで「現状維持」が米国の方針だ。頼氏はかつて「台湾独立の仕事人」と自称したこともあり、米側の警戒感は根強い。米政権高官は就任式を前に、記者団に対し、「中台どちらの側からの一方的な現状変更にも反対する」と強調していた。
■米国の台湾との「苦い記憶」…