液化天然ガス(LNG)を積んだ運搬船

 日米関税交渉をめぐり、米国からの液化天然ガス(LNG)の輸入拡大が焦点の一つになっている。とくに米側が期待を寄せるのが、米アラスカ州でのLNG開発事業への参画だ。中東などに比べて地理的に近いなど、日本にメリットもある。ただ、事業費が巨額で採算性を疑問視する声も多い。

 アラスカの計画は、州北岸のガス田で産出された天然ガスを南岸の液化基地まで運び、年約2千万トンをアジアなどに輸出するというもの。2030年代に出荷を始めるという。2月の日米首脳会談後、トランプ米大統領は日米で共同事業を検討すると明らかにした。

 米国がこの計画を持ち出した背景には、LNGの輸出を増やして貿易赤字を減らしたい思惑がある。4月に世界約60カ国・地域への「相互関税」を発表した数日後には、ベッセント財務長官が米メディアに「日本、韓国、台湾が(アラスカLNGの)多くを引き取り、資金を拠出するだろう。そうすれば(関税の)代わりになりうる」と語った。

 トランプ関税の見直しを求める日本政府は、今月初旬にあった米側との2回目の協議で、LNGを含む複数の品目の輸入拡大策を交渉材料の一つに示したという。交渉に関わる経済官庁幹部は、アラスカのLNGについて「採算が合えば、輸入すればいい」と話す。

 すでに台湾の公営石油企業が3月、計画を主導するアラスカガスライン開発公社(AGDC)と基本合意に署名した。韓国も検討する姿勢を見せている。

採算性を疑問視する企業

 ただ、ことはそう簡単ではな…

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