研究費削減などトランプ政権の圧力を受ける米国大からの研究者受け入れを、日本の大学が相次ぎ表明している。「報酬上限なし」という破格の厚遇を掲げる大学も。救済だけでなく研究力強化の好機と見ての動きだが、実際の受け入れは一筋縄ではいきそうにない。
「米国で活動を続けられない研究者や留学生を世界の学術界全体が受け入れて支援すべきだ」。広島大の越智光夫学長は6月2日、記者会見でそう語った。同大は、若手研究者を2年または3年、最大44人受け入れる方針を発表。学生分を含めて総額7億円の支援策を用意した。公式サイトで英語で発信している。
東京科学大は3日、主に米国の研究者や学生向けの問い合わせ窓口を公式サイトに設けた。研究者は、書類審査を経て条件を話し合い、合意できれば受け入れる。大竹尚登理事長が8日に訪米し、有力大の経営層や研究者らと面会。受け入れ策の検討に生かすという。
立命館大も5億円余りを用意し、米国大から留学生を最大100人、若手研究者については最大16人受け入れると発表。東京外国語大は、日本の大学が受け入れた研究者らが、無料で同大のオンライン日本語講座を受けられるようにする。
300億円で500人採用の「異次元」計画
しかし、他の追随を許さない「異次元」の対応をとるのが東北大だ。5年間で300億円を投じて、報酬の上限を設けず国内外のトップレベルの研究者を500人採用すると、6日に発表した。
昨年、世界最高水準の研究力…