トランプ米政権で、米国による対外援助の多くを担う米国際開発局(USAID)の「解体」論が浮上した。トランプ大統領らは対外援助予算への攻撃を強めており、援助の現場に大きな影響を及ぼす懸念が高まっている。現役職員らからも、米国の国際的な立場を弱めるものだとする声が上がっている。
政権の「政府効率化省」トップで起業家のイーロン・マスク氏はSNS上で3日までに、USAIDについて「犯罪集団」などと批判を繰り広げ、トランプ氏が「USAIDを閉鎖すべきだと同意した」と主張した。またトランプ氏は3日、USAIDの再編をめぐり、議会の承認は「必要ない」との認識を記者団に示した。
米国は世界最大の対外援助の提供国。トランプ政権が進める対外援助の「見直し」に波紋が広がっています。記事後半では、朝日新聞の取材に応じたUSAIDの現役職員の証言を紹介します。
トランプ氏は、USAID幹部について「急進的な狂人」と侮辱してきた。対外援助自体についても「米国民に利益をもたらさない」などとして、懐疑的な姿勢を示している。国務省はすでに、トランプ氏が1月20日に署名した大統領令を受けて、多くの対外援助を一時停止し、政権の「米国第一」の外交政策に一致するかどうか見直しを進めている。
国務省は3日、USAIDについて「責任をもって米国の国益を海外で進めるという本来の役割を離れ、資金の大部分が米国の中核的な国益に一致していないことは明らかだ」として、「組織再編も視野」に検討するとの声明を発表。暫定措置として、トランプ氏がルビオ国務長官をUSAIDの長官代行に任命したと明らかにした。
USAIDのほとんどの職員…