米国のトランプ大統領が21日(現地時間20日)、世界保健機関(WHO)から脱退する意向を表明し、大統領令に署名した。前回の政権時の2020年にも、WHOの新型コロナウイルスをめぐる対応を「中国寄り」などと批判して脱退を通告し、その後の政権交代で撤回された経緯がある。米国が実際に脱退すれば、WHOの運営からワクチン開発まで、様々な影響が出るとみられている。
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米国は1948年のWHO加盟時、脱退する場合は米国議会への通告から1年の猶予期間を置くことを取り決めている。これが守られれば、実際に脱退するのは来年以降になる。
脱退で最も懸念される影響は、WHOの資金調達だ。WHOの予算は各国に義務づけられた分担金と任意の拠出金などから成り、米国は拠出国の第1位。22~23年には、WHOの調達資金の約15%にあたる12億8400万ドルを提供した。
その大部分は、紛争地域などでの医療保健活動や、感染症対策、ポリオ撲滅活動などに使われている。
WHOは今月16日にも、パレスチナ自治区ガザやアフガニスタンなどでの「進行中の健康上の緊急事態に対応するため」の資金の拠出を加盟国に求めたばかりだ。
テドロス事務局長は「適切で持続可能な資金がなければ、我々は誰が治療を受け、誰が受けないかを決定するという不可能な課題に直面することになる」と訴えている。
厚生労働省の関係者は「米国が脱退すれば、日本にも分担金の負担を上げるように、との要請がWHOから来るだろう」と想定する。米国の脱退後は、分担金の拠出国の第1位は中国になるが、「(WHOの資金は)現在は分担金よりも任意拠出金の割合の方が多く、純粋に分担金の順位で中国が影響力を持つ、ということにはならないだろう」とも話す。
パンデミック条約・H5N1対策にも影響?
今後の感染症対策も懸念されている。
WHOでは5月の総会で「パ…