日本人学生が米国へ留学するときに必要な学生(F1)ビザの発給数が、今年5月は例年より4割減ったことが、米国務省が公表したデータからわかった。トランプ政権が留学生への締め付けを強める姿勢を示し、混乱を懸念した日本人が留学を諦めたり、留学先を米国以外に変えたりした影響が出ているとみられる。

 米国は9月入学の学校が多いため、F1ビザの発給数は例年、5~8月にピークを迎える。

 朝日新聞は、米国務省が毎月公表しているビザの発給数の国籍別データを集計。その結果、日本人向けのF1ビザの発給数は5月、約520件だった。

 コロナ禍が明けた2022~24年の5月は約900件が発給されていたため、今年は4割減った計算だ。データが公表されている17年以降、コロナ禍の20~21年を除いて最も少なくなった。

留学希望者たちは

 「8月から始まる米国の大学院の博士課程に間に合うか不安だけど、今は本当に待つしかない」

 九州地方の男性(26)はいま、ビザの取得に必要な大使館での面接の予約を取ろうと、「30分に1回」のペースでサイトを確認している。

 必要書類がそろった1週間ほど前から毎日、確認しているが、予約サイトに表示されるのは「利用可能な枠がありません」の文字だけだ。

留学生や観光客も多い米ハーバード大のキャンパス。国際色豊かな雰囲気が漂う=5月30日、米マサチューセッツ州ケンブリッジ、青山直篤撮影

 米メディアは5月末、トランプ政権が世界各国の大使館や領事館に、ビザの面接予約を一時停止するよう命じたと報じた。前後して、日本の大使館でも面接の予約ができなくなった。

 6月中旬になって、米国務省が予約を「近く再開する」と発表したが、現在も予約ができずに困惑している人たちもいる。

 男性の研究分野では、希望するテーマを複数の分野にまたがって研究できるような大学は米国くらいにしかない。大学側などが学費や生活費の支援もしてくれるとあって、進学先は変えられない。

 男性は「とにかく少しでも早く予約したい。冷静に対応していきたいと思うけど、米国に行った後もどうなるのかと不安が残る」と話す。

 30代女性も気持ちが落ち着…

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