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星条旗と医薬品=ロイター
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 新型コロナウイルスの教訓を踏まえた「パンデミック条約」が、世界保健機関(WHO)の総会で20日、採択された。だが、世界1位の経済大国で巨大製薬企業を抱える米国は参加していない。どのような背景があり、その影響は。

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 条約交渉にオブザーバーとして関わる非営利の医薬品研究開発組織「DNDi」の北米支部元トップで、シニアアドバイザーのレイチェル・コーエンさんは、今回の条約採択を「グローバルヘルスにとって地政学的にもろい時期にこの合意をまとめたことは心強い」と評価する。新型コロナ禍では、途上国にワクチンが十分行き渡らないという問題が起きた。採択された条約には、医薬品の技術移転や一部提供に関する条文が盛り込まれており、解消につながるとみる。

 一方で、米国が参加するかどうかは、米国だけでなく、世界にとっても重要な問題だと指摘する。不参加により、米国が国際的な枠組みから孤立すれば、米国の医学・科学研究や、製薬企業にも悪影響が出る可能性があるという。さらに、「米国は歴史的に世界のパンデミック対策において非常に重要な役割を担ってきた」と指摘する。

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