米国務省のブルース報道官=ロイター

 米国務省は12日、各国の2024年の人権状況を評価した年次報告書を公表した。「DEI(多様性、公平性、包摂性)」に否定的な第2次トランプ政権の意向を反映し、昨年より大幅に分量が少なくなった。一方で、欧州の同盟国であるフランスなどを「表現の自由が制限されている」などと批判した。米国の姿勢の変質に対し、人権団体などからは懸念の声が出ている。

 米CNNによると、今回の報告書は昨年発表の報告書に比べ、約4分の1の分量となった。関係者によると、報告書はトランプ政権発足前にほぼ完成していたが、政権発足後に大幅な改訂が加えられたという。性的少数者に対する人権侵害や、女性に対する暴力などをめぐる記述が大きく減った。

 トランプ政権のバンス副大統領らは、欧州のヘイトスピーチ規制を「表現の自由への制限」だと批判しており、報告書にもこうした姿勢が反映された。フランスや英国、ドイツについて「この1年で人権状況が悪化した」と指摘。「反ユダヤ主義を動機とした暴力」にも言及した。

■人権団体「政権の政治的アジ…

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