JR東日本と新潟・山形両県の自治体関係者が集まって米坂線の復旧について話し合った=2025年3月26日、新潟県関川村、井上充昌撮影

 2022年8月の豪雨で被災し、全区間の7割超で運休が続くJR米坂線(山形県米沢市―新潟県村上市)の復旧検討会議の第5回会合が26日、新潟県関川村で開かれた。JR東日本は第三セクターが運営する方式で復旧する場合、最大で毎年18.8億円が地元自治体の負担になるとの試算を示した。一方、バス路線に転換すると地元負担は最大同1.9億円になるとの見込みも併せて示し、約10倍の開きがあるとした。

 JRは米坂線の復旧方式について、従来通りJRが運営する方式のほか、施設や土地を自治体が管理し、JRが運行を担う「上下分離方式」▽三セク方式▽バス転換、の3案を示している。沿線では人口減が見込まれる中、86億円とする災害からの復旧費とは別に、運行を再開すると毎年発生する経費と収入の差額(欠損額)を算出し、これを地元負担額とした。国の補助金などは考慮していないという。

 それによると復旧後、坂町(新潟県)―今泉(山形県)駅間を運行するのに、三セク方式だと5.2億~18.8億円、バス転換だと1.5億~1.9億円の負担になるとした。以前の会合で、上下分離方式の場合は12.8億~17億円と提示。これで各方式の地元負担の規模感が出そろった。JRの担当者は「あくまで目安。持続可能な公共交通について考えていきたい」と話した。

 終了後の取材で、山形県の小中章雄・みらい企画創造部長は「鉄道での復旧を第一の目標としている」とし、バス転換における費用は「参考として受け止める」。新潟県の太田勇二・交通政策局長は「(被災から)今年8月で3年になる。スピード感を持って議論を進めないといけない」とそれぞれ話した。

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