米共和党知日派の筆頭格として知られたリチャード・アーミテージ元米国務副長官が13日、肺塞栓(そくせん)症のため死去した。79歳だった。
14日、アーミテージ氏が代表を務める「アーミテージ・インターナショナル」が発表した。
海軍兵学校を卒業後、ベトナム戦争に従軍。国防次官補などを経て、ブッシュ(子)政権で2001~05年に国務副長官を務めた。
知日派として日米外交において大きな役割を果たした。長年、日米同盟の強化や、日本の役割の拡大の必要性を訴え、日本の政策にも影響を与えてきた。
01年の米同時多発テロ後、柳井俊二駐米大使(当時)に対し「ショー・ザ・フラッグ(旗を見せろ)」と述べ、日本の貢献を求めたとして知られる。03年のイラク戦争においても、日本に自衛隊派遣などによる支援を求めた。
00年以降計6回にわたり、ナイ元米国防次官補らと超党派の米知日派による対日政策文書「アーミテージ・ナイ・リポート」を発表。00年の文書では、「国際的リーダーシップをとるなら、リスクを負う必要がある」と日本に提言していた。直近では24年4月、「より統合された同盟へ」と題した6回目の報告書を発表していた。
21年4月や24年5月には、バイデン政権の非公式代表団として台湾に派遣された。
15年に旭日大綬章を受けた。知日派として晩年まで日米関係強化に努め、24年には訪米した拉致被害者家族らと面会。今年1月にはトランプ大統領就任式に出席するため訪米した岩屋毅外相と会談していた。
林芳正官房長官は15日の記者会見でアーミテージ氏に哀悼の意を表し、「(ブッシュ政権で)先頭に立って対日外交に取り組んでいただき、今日のかつてなく強固な日米同盟に大きく貢献した。その後も政策提言や人的交流を精力的に行い、米国で党派を超えた対日理解の促進に大きく寄与された」と語った。