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高校生に金融教育の授業をする国井弘美さん。金融経済教育推進機構(J―FLEC)から派遣された=2024年12月11日、東京都杉並区の杉並工科高校

 昨年12月、東京都杉並区の杉並工科高校で家庭科の授業を見学した。講師がたずねる。「必ずお金が戻ってきて大きなリターンも期待できる。そんな金融商品はあると思いますか?」。生徒が応じる。「ないと思います!」。解説は続く。投資信託や株式のリスク、リターン、コスト――。本格的だ。

 家庭科で「資産形成」を学ぶようになったのは2022年度から。この日講師を務めた国井弘美さんは「金融経済教育推進機構(J―FLEC)」から派遣され、メガバンクでの勤務経験がある。「どんな将来を描いても節目ごとにお金は必要。低金利の時代では、自らで判断するための知識が昔より大切になっています」と説く。

 私が高校生だった今世紀初めごろ、そんなことは習わなかった。何となく「投資は危ない」と思っていた。1990年代にバブル経済がはじけ、株価暴落で投資家が損した。我が家はそのころ地方の山間部で暮らしていたこともあってか、母親は「田舎にいたから変な投資に手を出さずに済んだ」と誇らしげだった。

 金融庁が掲げる「資産運用立…

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