米軍の川上弾薬庫の門。周辺の井戸水や水路から高濃度のPFASが検出された=2024年6月5日午後5時15分、広島県東広島市八本松町宗吉、柳川迅撮影

 広島県東広島市の瀬野川流域の井戸水などから国の暫定目標値の300倍に相当する濃度の有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題で、付近に弾薬庫を持つ米軍が防衛省を通じて、過去にPFASを含む泡消火剤を使っていたことを明らかにした。市が6日発表した。米軍はこれまで市の照会に「使ったことはない」としていた。

 PFASは防水加工や泡消火剤などに使われてきた。市内には在日米軍の川上弾薬庫があるが、市の2023年からの水質調査で、弾薬庫の下流の水路や井戸水から最大で国の暫定目標値の300倍に相当するPFASが検出されていた。

 市は24年2月に防衛省を通じて米軍に対し、泡消火剤の使用履歴や漏出の有無を公表するよう要望したが、米軍は泡消火剤を消火活動や訓練で使っておらず、漏出もないと回答した。

 しかし、米軍が過去の記録を調査したところ、1991~2009年に弾薬庫敷地内の北東部にあるヘリパッド周辺で泡消火剤を使って消防車の点検や訓練をしていたと、防衛省中国四国防衛局を通じて6日、市に連絡があった。

 高垣広徳市長は「川上弾薬庫から流れ出る水の汚染の原因となり得る蓋然(がいぜん)性が高いものと言えるのではないか」との談話を出した。市は今後も、防衛省を通じて、米軍が弾薬庫敷地内の水質・土壌調査をすることなどを求める方針。(柳川迅)

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