米軍関係者による性暴力事件の情報が政府から地元自治体に共有されていなかった問題で、防衛省は今後の対応をめぐる山口県の照会に対し、「情報の共有範囲にかかる捜査当局の判断を踏まえつつ、関係都道府県と個別に相談して対応していく」と9日付で回答した。
米軍関係の事件・事故の情報については、「地域社会に直ちに提供する」とした1997年の合意に基づき、政府機関を通じて自治体に伝える仕組みがある。しかし今年6月以降、沖縄で非公表の事件が相次いで発覚して、この仕組みが機能していなかったことが問題となり、政府は7月から非公表の事件についても沖縄県に伝達する運用に改めた。林芳正官房長官は同月の記者会見で「米軍人による犯罪予防の観点から迅速に対応を検討する必要があることに留意した」と説明した。
一方、米軍関係者による性暴力事件の情報が地元自治体に共有されない事例は沖縄県以外でもあり、山口県は今後、県内で事件が起きた場合の対応を国に照会していた。
回答では、対象となるのは「被害者の名誉やプライバシー保護等が重要となる性犯罪であり、捜査当局が積極的に広報していない機微な事案」の情報であることを理由に、共有範囲は限定的であるべきで、「防衛省から直接、市町村に情報を共有することは想定していない」とした。
一方で、関係都道府県が被害…