高濃度のPFASなどが検出されている湧き水。飲まないよう警告する看板が設置されている=2021年3月25日、沖縄県宜野湾市、国吉美香撮影
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記者解説 国際報道部次長(前那覇総局長)・渡辺丘

 全国各地の河川や井戸などから有害なPFASが検出されている。約4700種類あるとされる有機フッ素化合物の総称で、代表的なものがPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)だ。水や油をはじき熱に強く、フライパンの表面加工や泡消火剤などに使われてきた。自然界ではほぼ分解されず、人体に取り込まれれば長く残り、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。現在、製造や使用が原則禁止されている。

 主な汚染源は工場などに加え、泡消火剤を使っていた米軍基地も含まれるとされる。基地が集中する沖縄県では影響が深刻だ。2016年以降、基地周辺で国が定めた「暫定目標値」を上回るPFASが相次いで検出された。

 普天間飛行場や嘉手納基地がある本島中部の河川でも高い値となり、22年に取水がほぼ停止された。しかし、今年に入り、渇水でダムの貯水率が下がり取水が再開された。県は活性炭で吸着するなどしており健康への影響はないというが、住民からは「本当に安全なのか疑問だ」といった声があがっている。

 県の全体的なPFAS対策費は過去8年で32億円。うち10億円を防衛省が補助した。県は今後10年で、さらに80億円以上かかるとみる。玉城デニー知事は「基地由来のPFASの対策費は国が負担すべきだ」と訴える。

 汚染源の特定などのため基地内への立ち入り調査も求めるが、米側は十分には応じていない。

ポイント

 分解されにくく発がん性の疑いがあるPFAS(ピーファス)の汚染が深刻だ。米軍基地も汚染源とみられるが日本側の立ち入り調査は難しく、住民の不安が高まる。健全な同盟関係を築くためにも、米側の権限が強い日米地位協定を見直すべきだ。

 県は16年以降に立ち入り調…

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