基地外の歩道で小銃を携行する米兵=4月27日、神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地前、非核市民宣言運動・ヨコスカ提供

 神奈川県横須賀市の市民団体は、反戦を訴える「月例デモ」で、米海軍横須賀基地前を通過する際に小銃を携行した米兵が基地外で警備をしていたとして、基地に抗議した。団体側は「歩道での銃による警備は合法的な市民活動を敵視する行為だ」と批判している。

 月例デモは「基地のことを考えよう」と、「非核市民宣言運動・ヨコスカ」などの市民団体が毎月最終日曜に基地近くのヴェルニー公園から基地前を経由して市中心部へ向かう。同団体の新倉裕史さん(77)らによると、3月30日と4月27日のデモで、小銃を携行した米兵が基地ゲート前の「イエローライン」と呼ばれる境界線を越え、数メートルほど先の国道16号沿いの歩道にいたという。来年1月で通算600回になるが、こうした行動を見たのは初めてという。

 5月25日の月例デモではこうした行動は見られなかったが、同29日に基地に抗議を申し入れると、基地内で担当者が通訳らを交えて対応。新倉さんは「要請文を受け取るだけでなく、我々の主張をよく聞いてくれた。米軍側も大ごとになっていると自覚しているのだろう」。

外務省「ただちに問題とはならない」

 外務省日米地位協定室は一般論と断った上で、米軍の施設と区域での軍事警察権を定めた同協定17条10項を根拠に「基地外で銃を携行した警備行動がただちに問題となることはない」という。

 5月30日の市議会一般質問で見解を問われた上地克明市長も、国に確認したとして「日米地位協定上、問題となるわけではないと認識している」と答弁した。

 なぜ銃を携えてイエローラインを越えたのか、この時期に警戒レベルを上げていたのか。横須賀基地司令部は取材に「運用保安上の理由から、具体的な部隊防護措置や警備手順についてはお話ししません」と回答した。

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