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こうべを垂れる稲。収穫は間近だ=2024年8月31日午前10時59分、茨城県筑西市、吉沢龍彦撮影
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 2024年の夏の終わり、小売店から米が消えた。前年の猛暑が米の不作や品質低下を招き、在庫が少なくなったのが原因と言われる。米不足は日本の食生活にじかに影響するだけに、大きな注目を集めた。一方で、生産現場に変化が起きていたことはあまり知られていない。

 農林水産省が発表している農業経営の統計(営農類型別経営統計)によると、主に水田で耕作している農家の農業所得の平均は、21、22年と2年続けて1万円となった。

 米作りには、個人が営む零細な農業から、法人で取り組む大規模な営農まであり、経営状況は一律にはまとめられない。とはいえ、20年の農業所得の平均は17万9千円だった。そこから突然大幅に減少し、わずか1万円になってしまったことに驚かざるをえない。

 ちなみに農業に費やした労働時間の平均は1千時間ほどで、「時給」に換算すると10円になってしまう。

「米価下落と資材費高騰が重なった」

 どうしてこんなことになったのか。農水省は「米価の下落と資材費の高騰が重なったため」と説明する。米価の下落は、新型コロナウイルスの流行で外食産業の営業が滞り、米の需要が減ったことが原因だった。資材費高騰にはロシアによるウクライナ侵攻も影響したという。

 農家を守ることを掲げ、農業…

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