厚木基地に飛来する航空機の騒音を測定する森謙治さん=2024年11月15日午後2時35分、神奈川県大和市福田、加藤美帆撮影

 米軍と自衛隊が共同で使う厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)の騒音被害を巡り、周辺住民が米軍機と自衛隊機の夜間・早朝の飛行差し止めと損害賠償を国に求めた「第5次厚木基地騒音訴訟」の判決が20日、横浜地裁(岡田伸太裁判長)で言い渡される。最大の騒音源とされてきた米空母艦載機部隊の岩国基地(山口県)への移駐が完了し、その後の騒音をどう評価するかが争点だ。

  • 【そもそも解説】基地の騒音訴訟、どこで起き、裁判所はどんな判断?

 厚木基地はベッドタウンの中央に位置し、南北に延びる飛行ルートの直下に住宅が密集する。今回の5次訴訟の原告は神奈川、東京の8市に住む約8700人で過去最多。月4万円の損害賠償を提訴前3年分と差し止め実現までの将来分について求め、午後8時~午前8時の飛行差し止めも請求している。

 騒音訴訟は1976年に始まり、4度の裁判はいずれも「騒音は違法」と賠償を命じてきた。今回の争点は、米空母艦載機部隊が岩国基地へ移った後の騒音の評価だ。移駐は2006年に日米が合意し、5次訴訟の提訴翌年の2018年に完了した。

争点は移駐後の騒音状況

 住民側は「騒音問題はいまだ解消にはほど遠い」と主張。これまでの航空機の騒音基準「うるささ指数(W値)」は現状を過小評価してきたと指摘し、評価方法の見直しを訴える。

 一方、国は移駐で「騒音は大幅に低減した」と主張。これまでの裁判で賠償を認めてきた「W値75以上」の範囲は著しく狭まったと反論した。

 14年5月の4次訴訟の一審…

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