日本銀行の氷見野良三副総裁は2日、北海道釧路市で講演し、米国の関税政策の影響について「当面は(想定より)大きくなる可能性の方により注意が必要でないかと考えている」と述べた。日本経済や物価への影響を丁寧に確かめた上で、追加利上げを判断していく姿勢を強調した。
氷見野氏は講演で、日米の関税交渉合意を「大きな前進」とする一方、世界経済の不確実性は「引き続き高い」とした。現時点では、日本企業の輸出や生産、投資計画に与える関税の影響は「思ったほど顕在化していない」とした上で、「時間がかかっているだけであり、影響はこれから及んでくる」との見通しを示した。
氷見野氏は講演後の会見で、「先行指標的な注目点」として「(関税政策が)米国経済にどう影響が出てくるかをよく見ていきたい」と述べた。日本企業への影響も本支店による聞き取りなどで把握していくとした。
実質金利「依然きわめて低い水準」
物価の見通しについては講演…