「コメ騒動」に明け暮れた昨年後半から今年前半。政府備蓄米が放出され店頭価格は下落傾向にあるが、それでも例年に比べて高値が続く。身近なコメについて改めて考えると共に、自作すれば備えになるのではと思いついた。膳は急げ、違った、善は急げ、青森総局でたったひとり、ごくゆるい態勢でコメづくりを始めてみた。
バケツ稲づくりの日々の様子は、青森総局のXアカウント(@asahi_aomori)でも報告しています。
JAグループが「次代を担う子どもたちに日本の稲作や農業に触れ、もっと身近に考えてもらいたい」と、1989年から全国の学校や保育園、幼稚園に無料(送料別)で配布している「バケツ稲づくり」のセット。
「種もみ・肥料」「お名前シール」「マニュアル」が入っていて、バケツや土などは自前で用意する。種もみはコシヒカリで1セット26粒ほど。今年22万セットを上限に配ったという。青森総局では5セットを注文した=写真①。
水に浸して3日目の5月29日、種もみから数ミリの白いひげのようなものが見えた。「おっ、もう出ている」。出勤し、芽出し用の皿を点検して、思わずつぶやいた。
筆者の実家は佐賀県の兼業農家。小学生の頃、田植えは機械を使い、四角い箱のような苗は業者から提供してもらった。種もみから苗を育てること自体が初めてだ。
芽が出た種もみ=写真②を、6月7日に幅60センチ奥行き40センチ深さ10センチほどの苗床にまいた=写真③。数センチ単位で丈がのび=写真④、水やりと観察の毎日だ。
22日に20センチほどに育った苗5本をまとめてバケツ5個に植え替える=写真⑤。7月上旬には丈が40センチを超すほどの高さに。それぞれ茎の本数が増えつつある=写真⑥。
バケツを屋内と中庭に、比較してみると…
稲の茎が分かれる「分げつ」…