米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は今月16、17日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利下げに踏み切るかどうかを決める。利下げすれば昨年12月以来6会合ぶりで、金融緩和を露骨に迫る現トランプ政権下では初めて。その判断を占う8月の米雇用統計が5日に発表されるのを前に、四つの注目ポイントをまとめた。
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①なぜこのタイミング?
9月FOMCがにわかに関心を集めるようになったのは、FRBのパウエル議長が8月22日の講演で「政策スタンスの調整が必要になるかもしれない」と語ったからだ。現在4.25~4.50%と高止まりする政策金利を引き下げる可能性があると受け止められた。
パウエル発言の前提には、8月1日に公表された雇用統計があった。FRBが注視する米就業者数の5、6月分が、計25.8万人分も下方修正され、好調にみえた雇用情勢が実はもろいのではとの懸念が広がったのだ。
FRBは法律で、「物価の安定」と「雇用の最大化」という二つの使命を課される。パウエル氏はこれまで、トランプ大統領の関税政策が物価高(インフレ)をあおるリスクを最重視し、5会合連続で政策金利を据え置いてきた。だが雇用リスクの高まりで、雇用をめぐる使命にも目配りをせざるを得なくなった。
金融先物取引の値動きに基づく金融市場の見立て「Fedウォッチ」(米国時間3日朝時点)では、9月会合での0.25%幅の利下げ確率は9割を超える。
②二つの重要指標に注目
ただ、パウエル氏は8月の講…