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 精子が女性の体内で卵まで届いて受精するには、特別なたんぱく質と糖の相互作用が欠かせないことを、熊本大学や大阪大学の研究グループが発見したと発表した。男性が原因の不妊の診断や避妊薬の開発などが期待できるとしている。

 熊本大学生命資源研究・支援センターの野田大地准教授らが18日、記者会見を開いて説明した。精子が卵まで到達して受精するには、子宮に入った精子が卵管へとつながる狭い接合部を通過し、さらに奥にある卵まで届き、周囲を覆う「透明帯」に結合する必要がある。子宮から卵管へと入れない精子を選び出して調べたところ、卵との結合もできないことを発見。男性不妊に共通するメカニズムがあると見て、研究を進めていた。

 その結果、精子がもつ「GALNTL5」というたんぱく質が、子宮などにある「GalNAc」という糖と結びつくことが、精子の卵管への進入やその先での卵との結合に欠かせないことが判明。精子が健全な状態でも、このたんぱく質と糖の結びつきが邪魔されることで不妊になる可能性もあるという。

 研究ではマウスや人の精子で調べた。野田准教授は「カップルの4.4組に1組が不妊の検査や治療を受けたとする調査もある。さらにメカニズムを調べ、不妊治療などに結びつけたい」と話している。研究成果は17日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(https://doi.org/10.1038/s41467-025-63805-4)に発表された。

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