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認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」理事長の村木真紀さん

 今国会に提出されている「特定生殖補助医療法案」を知っていますか。

 第三者提供による精子や卵子を使う不妊治療の法的なルールを初めて設けるものですが、その対象を「法律婚の夫婦」に限定しています。事実婚やシングル、同性カップルなどはその「外」に置かれ、違反に対しては罰則規定も盛り込まれています。

 生まれてきた子どもたちに「自分たちは違法行為によって生まれてきた」という思いを抱かせたくない――。同性のパートナーと共に子どもを育てるNPO法人「虹色ダイバーシティ」理事長の村木真紀さんは語ります。

生殖補助医療で生まれた我が子

 ――お子さんは、小学生ぐらいですか。

 「この春、小学3年生になりました。身長は私の肩に近づき、九九を覚えて、朝食作りを手伝ってくれるようになりました。レンジで、マヨネーズとしょうゆの味付けのオムレツを作ってくれます」

 ――しっかりしていますね。

 「子どもの成長は早いですね。最近は夜、宿題をした後は、チェスの時間です。西洋文学の理解に役立つかと思って、昨年、チェス盤と入門書を買ったんです。最初のうちは私が勝っていたのに、このところはもう五分五分。負けると本気で悔しがり、勝つと大得意で解説してきます。優しいところはパートナーに似ていますが、負けず嫌いなところは私に似ています」

 「子どもは友人に精子提供を依頼し、生殖補助医療によって生まれました。子どもにとっては、私のパートナーが母親で、私は『母親のパートナー』、たまに会う友人が遺伝的父親です。私は同性が好きだと気付いてから、結婚したり子育てしたりする未来は自分にはないと思っていたので、今も夢の中にいる気がすることがあります」

 「若い時に想像できなかった生活が自分にもあり得ることを実感している中、後に続く人たちに、これからは諦めてだなんて、言えるわけがありません」

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子どもたちが背負わされるスティグマ

 ――法案の中身を知った時は何を思いましたか。

 「衝撃でぼうぜんとし、次に…

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