2011年、和歌山県内で61人の死者・行方不明者を出した紀伊半島大水害。当時県職員だった男性がこの春、現場指揮や人員配置などの災害対応について振り返る著作「雨が降ったら仕事が始まる――地方公務員の水防業務」を出版した。「大災害時、県庁という組織がどう動いたのか、今後の参考にしてほしい」と話している。
和歌山市の太田和良さん(61)は、大学工学部卒業後に土木職として県庁入りし、河川や道路、港湾など公共土木施設の整備を担当してきた。一方で、一貫して防災業務にも携わってきた。
紀伊半島大水害は、太田さんが県土整備総務課(当時)に在籍しているときに起きた。11年8月30日~9月5日、台風12号の豪雨により紀伊半島各地で土砂崩れや河川の氾濫(はんらん)などが発生した。和歌山県で61人、奈良県で24人、三重県で3人の死者・行方不明者が出た。
その年は、東日本大震災が発…