「友情のレポーター」としてカンボジアに派遣された波田野優さん(左端)と浅島奈央さん(左から2人目)。貧困の中で暮らす子どもを取材した=2024年8月、カンボジア・バッタンバン、国境なき子どもたち提供

 世界各地に派遣され、紛争や迫害、貧困など厳しい環境に置かれた子どもを取材する。東京のNPO法人「国境なき子どもたち」(KnK)による「友情のレポーター」の取り組みが、スタートして30年となった。これまでに11歳から17歳までの70人が13カ国を訪問。経験をその後の人生に生かしている。

 大阪市の私立高校1年、浅島奈央さん(16)は今年7月、タイとカンボジアの国境地帯での軍事衝突を知り、気が気でなかった。

 中学3年だった昨年8月、友情のレポーターとしてタイ国境にほど近いカンボジア北西部バッタンバンを訪問。KnKが運営する若者の支援施設に寝泊まりしながら、経済的に苦しい家庭の子どもたちに話を聞いた。1週間ほど一緒に暮らし、片言の英語やジェスチャーを使ってやりとりするうちに仲良くなり、再会を約束した友達がいる。「これまでなら遠い世界の話でした。今は現地に友達がいるので、身近な出来事に感じます」。帰国後は、「もっと視野を広げたい」と講演会を見つけては聞きに行っている。国内外を問わず、「貧困などに苦しむ子どもを支援する仕事に就きたい」という。

 一緒にレポーターを務めた東京都の私立高校1年、波田野優さん(15)は、貧困が原因で学校に行けない子どもや、必要な情報にアクセスできない人が多いことに衝撃を受けた。「大学では法律を学び、厳しい環境にいる子どもの人権を守ることができる法律家になりたい」と夢を描く。

 施設の若者たちとも、メールのやり取りを続けている。軍事衝突のニュースに驚きすぐに安否を尋ね、無事を確認した。「国どうしが対立しても、つながりがあれば人間どうしは関係を続けることができる」という。

安田菜津紀さん「自分の仕事の原点」

 「友情のレポーター」は19…

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