(第107回全国高校野球選手権大会 花巻東4―8東洋大姫路)
「ここからつながれ!」
7点を追う七回1死無走者、花巻東の高橋蓮太郎選手(3年)は祈るような気持ちで打席に入った。外角高めの直球に合わせると鋭いライナー性の打球となり、右翼線二塁打に。高橋選手は後続のバットで生還し、貴重な初得点をもたらした。
高橋選手は五回も直球を狙い打ち、左前安打を放っていた。七回以降に集めた6安打と犠飛はいずれも直球を打ち返したもの。終盤になり、チームとして狙いが定まっていった。
反撃の起点となった高橋選手の一打は、この試合初の長打だった。下位打線でもフルスイングから長打が出る花巻東打線。それを可能にしたのは、冬場の厳しい鍛錬だ。
屋外練習が難しい冬の時期、花巻東の選手たちはウェートトレーニングで体力強化に励む。加えて高橋選手は中軸の選手たちとともに、「1日1千回」を目標に素振りを繰り返した。高橋選手は「つらい練習も、仲間と一緒だからやり抜けた」と振り返る。
「扇の要」の捕手で、仲間のプレーへのこまやかな心配りが欠かせない。だがつい、雑なプレーが出ることもあった。「自分のダメなところを、仲間たちは時に厳しく指摘してくれました。ケンカもしたけど、成長できました」
卒業後は大学で野球を続けたい。「花巻東で学んだことを最大限生かし、花巻東の名に恥じない人間になりたいです」と前を向いた。