「素数ゼミ」として知られる米国東部に生息するセミが13年と17年ごとに一斉に羽化する仕組みを、京都大学などの共同研究チームが明らかにした。素数ゼミは4年周期で発育を制御し、羽化の前年に一定の体重を超えていれば、羽化に向けて外界に出るのに備えて視覚に関する遺伝子が発現していた。
米東部に生息するセミは、ぴったり13年間と17年間幼虫として過ごし、地域ごとに複数の種のセミが一斉に羽化する。そのことから「周期ゼミ」と呼ばれたり、13と17が素数であることから「素数ゼミ」と呼ばれたりしている。一斉に羽化するのは繁殖をしやすくしたり、鳥などの外敵から身を守ったりするためなどと言われているが、どのようにその周期を測っているのか、羽化の時期をそろえているのかなど、その仕組みはわかっていない。
研究チームは、4の倍数の年(13年セミは12年、17年セミは16年)の時点でセミの幼虫に何らかの変化が起き、翌年(4の倍数+1)のタイミングで羽化するのではないかとの仮説をたてた。実証のため、2019年から4年間かけて羽化する年が違う17年セミの四つの集団の幼虫を土から掘り出し、実験室で飼育して発育の状態や遺伝子の発現を調べた。
セミの幼虫は羽化する前に視覚が成長し、眼(め)の色が白から赤に変わる。採取した幼虫をみると、15歳の幼虫はほとんどが白眼だったが、16歳になると97%が赤眼に変わり、平均体重も一定の体重を超えていた。さらに、光の反応に関わる遺伝子が16歳になると発現し、視覚の発達が進んでいることも確認した。12%が17年セミにもかかわらず、12歳で羽化に向けて一定の体重を超えて赤眼になっていたが、11歳と13歳では1匹、15歳では2匹しかおらず、14歳は0匹だった。
チームを率いる、曽田貞滋・…