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厚生労働省

 人工妊娠中絶のための飲み薬について、半年間の使用実績を調べたこども家庭庁の研究班が「重篤な合併症はなかった」と結論付けた。厚生労働省は近く、入院可能な医療機関に限っている要件を変更し、入院ベッドのない無床診療所でも、緊急時の対応ができることを条件に使えるようにする方針だ。

 この薬は、経口薬「メフィーゴパック」。対象は妊娠9週0日までの妊婦で、1剤目を飲み、36~48時間後に、2剤目をほおの内側で30分かけて溶かして使う。

 使用中に大量出血などのおそれもあるため、厚労省は2023年4月の承認時に「適切な使用体制が整うまで、当分の間は入院可能な医療機関で使用する」との条件を付け、研究班の調査結果を踏まえて再検討することにしていた。

 調査によると、全国の2096医療機関で同年5~10月に妊娠11週6日までの人工妊娠中絶は約3万6千件。そのうち使用対象となる中絶は約2万8千件あり、435件で経口薬が使われた。39件は2剤使っても中絶が完了せず手術になった。使用後に大量出血などの重篤な合併症が起きたり、救急車で他院への搬送になったりする事例はなかった。

 研究班代表者の中井章人・日本産婦人科医会副会長は「経口薬は手術と比べても安全性が高い。薬が普及すれば人工妊娠中絶の安全性はさらに高まると推察される。女性の選択肢を増やしたい」と話す。

 厚労省は「原則入院できる医…

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