パリで2010年1月26日、自らの研究について語るエチエンヌエミール・ボーリューさん=ロイター

 経口中絶薬を1980年代に開発したフランスの医師、エチエンヌエミール・ボーリューさんが5月30日、パリの自宅で死去した。98歳だった。妻のシモーヌさんが明らかにした。中絶反対派から批判を浴びながらも、望まない妊娠で中絶を選ぶ女性の負担を減らす選択肢として、人工妊娠中絶のための飲み薬の普及に貢献した。

 発表によると、ボーリューさんは1982年、妊娠初期に飲み薬として服用することで、ホルモンに作用して妊娠を止める薬「RU486」を開発。望まない妊娠で中絶を選ぶ際に、女性の心身への負担や危険が手術に比べて少ない中絶薬は画期的とされた。世界保健機関(WHO)は、経口中絶薬を「安全で効果的な方法」としている。

 仏メディアによると、フランス政府は88年にRU486の販売を認可したが、中絶に反対の市民や欧米のカトリック教会などから強い抗議を受け、製薬会社が製造を一時中止するなどの騒動が起きた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ…

共有
Exit mobile version