経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリー社長)らが22日、東京電力柏崎刈羽原発を視察し、報道陣の質問に「もし柏崎刈羽が再稼働できなければ、日本の原子力は暗雲が立ちこめる」と述べ、再稼働の必要性を強調した。同原発には昨年11月、経団連の十倉雅和会長らも訪問。相次ぐ財界トップの視察は、「地元同意」に関して慎重に検討する姿勢の花角英世知事に対し、早期運転に向けた経済界の「意志」を示すものと見られる。
一行は東電が再稼働を目指す6、7号機の中央制御室や、事故時に備えた安全対策設備を視察。その後、新浪氏は報道陣に対し、「半導体工場やデータセンターをつくるなど、地元へのメリットが必要だ。こちら(柏崎刈羽原発)でつくった電力を新潟県の新たな産業に活用できる仕組みづくりが必要ではないかと思う」と語り、地元の産業振興策が重要との考えを示した。
新潟県内では「事故のリスクだけを背負わされている」との意見も根強い。新浪氏は「電気の受益者である首都圏の人々は、新潟県の人々に対していかに感謝の気持ちを伝えるか、考えていかなければならない」と述べた。
経済同友会は2023年12月、福島第一原発事故後の「縮・原発」の方針を見直して「活・原子力」を提唱。「世界最高水準の安全性を担保したうえで、原子力を活用すべきだ」との考え方を打ち出し、「柏崎刈羽原発の活用」は脱化石燃料などの課題に対して「効果的」としていた。