物価や光熱費の高騰が続き、家計が圧迫されている世帯は多い。今夏に実施した朝日新聞と河合塾は共同調査「ひらく 日本の大学」では、今後、学生に悪影響が出ると予想する大学は6割超にのぼった。多くが中間層への支援制度の拡大を求めている。
調査では、各大学に物価や光熱費の高騰によって「大きな影響が出ている」のはどのような点か質問した。27%が「経済的な支援を希望する学生数」を挙げた。多かったのは、私立大や入学定員が「1000人未満」の小規模大学だった。
一方、今後影響が出ると予想している大学は62%。特に私大は65%と多かった。日本学生支援機構の22年度調査では、家庭の年間収入が400万円未満の学生の割合は、国立大の21%に対し私大は23%。地方を中心に、下宿代を払えない家庭の学生が地元の小規模私大に通うケースが多いことが影響している可能性がある。
すでに「大きな影響が出ている」と回答した明海大(千葉県)は「奨学金申請数が増え、今後の離学者数増加につながると予測している。経済的に不安定な状況は、学生の学修機会の損失・質の低下にもつながるため、大きな課題だ」とする。神戸芸術工科大も「物価高騰が家庭の経済事情に大きな影響を与え、学費負担が厳しい学生が増えている」とした。
各大学に、中長期的(今後5~10年)な学生に対する大学独自の経済的支援の方針についても尋ねた。
奨学金拡充、大規模大や大都市圏の大学は意欲
奨学金を「拡充させる」とし…