2035年度までの次の温室効果ガスの削減目標について、政府が示した目標案に対し、経済団体やNGOなどから引き上げを求める声が相次いでいる。政府は年内にも目標をとりまとめる方針だが、現在の目標案では気候変動対策を推し進めるには不十分との声はやみそうもない。
「(削減目標案が)国際的に合意を得られる数字になっていない」「企業の産業競争力にも影響する」
気候変動対策に積極的な企業がつくる団体「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」(JCLP)の松尾雄介事務局長は3日、緊急会見を開いてこう訴えた。JCLPにはリコーや戸田建設、イオンなど約250社が加盟している。会見には超党派議連の「カーボンニュートラルを実現する会」から自民、公明、立憲、国民、維新、共産の議員も出席した。
緊急会見の理由は、政府の削減目標案にある。11月25日の審議会で初めて「35年度に13年度比60%削減を軸とする」との方針が示された。
気候変動対策の国際ルール「パリ協定」のもと、各国は新たな目標を25年2月までに国連に提出することになっている。現在の政府の案は、13年度から、政府が掲げる「50年排出実質ゼロ」へ直線的な経路で削減した際の通過点だ。
目標達成に「少なくとも66%減」の声
しかし、世界的に期待される水準よりも低いとの指摘が出ている。
国連の気候変動に関する政府…