樽谷哲子さん=2024年8月、神戸市垂水区、岡田玄撮影

 スポーツ競技に欠かせない審判。だが、時に「誤審」騒動が起き、批判の矛先が向けられる。テクノロジーがめざましく進歩する中、人間の審判に求められる役割とは何なのか。国際柔道連盟審判員の樽谷哲子さんに聞きました。

  • 「人間の審判」は消えるのか 進むAI判定の可能性と副作用は

 審判員の役割は、ルールにのっとって公平公正に裁くことです。国際柔道連盟(IJF)の試合審判規定では、エキサイティングな試合をめざし「組み合うこと、技をかけあうこと、試合場内で勝負すること」、さらに「これらを安全に行う」ことに焦点をあてて、ルール改正が行われてきました。

 4年に1度のオリンピックの周期が基本ですが、緊急性があれば、その期間を待たずに改正されたこともあります。そのため審判員は常に情報を共有し、準備しておかなければなりません。

 IJFには現在、約200の国・地域が加盟し、歴史的背景、柔道の普及度や成熟度、その地に元々あった格闘技系の技術との融合など、異なる背景を持つ人々が柔道に取り組んでいます。大切なのは、柔道を通してお互いの理解を深め、助け合うこと。ルール改正の中には「より分かりやすく」というものも含まれています。

 試合場では主審1人と選手が…

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