生まれた時に決められた性別は男性で、結婚後に女性として暮らすようになった京都市のトランスジェンダーの50代が、結婚したまま戸籍上の性別を女性に変更するよう申し立てた家事審判で、京都家裁は19日、性別変更を認めないと判断した。弁護団は即時抗告する方針。
性同一性障害特例法の規定には、戸籍上の性別を変える場合に、現在結婚していないことを求める「非婚要件」がある。夫婦どちらかが性別を変えると、現行法で認めていない同性婚の状態が生じるとして設けられた。
申立人は、性別変更をするか、離婚するかの二者択一を迫る非婚要件は、幸福追求権を定めた憲法13条や「婚姻の自由」を定めた憲法24条に違反しており無効だと主張していた。
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決定は、「性自認に従った法令上の性別の取り扱いを受けることは重要な法的利益」だと認めた。非婚要件は、こうした法的利益と婚姻の継続との間で二者択一を迫るもので、「重要な法的利益を制約する」と指摘した。
さらに、同性婚を認めない民法などの規定が「違憲」「違憲状態」とする司法判断が相次いでおり、婚姻を継続する権利は「憲法13条と24条1項によって保障された人権として認める余地はある」と言及した。
一方で、どのような関係を法的な婚姻として認めるかなどについては「まずは立法府で議論すべき問題」だと指摘。非婚要件によって二者択一を迫られる法的利益の制約を受けるとしても、「国会で定められるべき婚姻関係を含めた法的な整合性を担保するものとして非婚要件があることに照らせば、非婚要件が直ちに違憲・無効とはいえない」と判断した。
「一歩前進」識者が指摘したポイント
申立人は、カミングアウトし…