高知県で生まれ育った赤松甫美(ふみ)さん(37)。
オーストラリアへの留学経験があり、大学卒業後は中学校の英語教師として13年間働いた。
英語能力テストのTOEICでは、満点の990点を取ったこともある。
2023年1月に結婚し、教師を辞めた今は愛媛県で暮らしている。
夫は、120年以上続くミカン農家の長男・政紀(まさき)さん(51)だ。
14歳年上の生真面目な性格で、話し方がちょっと回りくどい。
でも、彼が育てたミカンは抜群においしい。
「自然はウソをつかないから、丁寧に手をかけた分だけ応えてくれる」
そんな口癖や実直さが、味に表れているのだと思う。
出会って約4カ月後にプロポーズされて、結婚に向けた準備を始めていた22年10月。
友人たちも交えてお酒を飲んでいたら、マラソンの話になった。
「政紀さん、高知龍馬マラソンに出てみたら?」
その場にいた友人の1人がランナーで、出場を勧めたのだ。
ミカン作りで足腰は鍛えられている政紀さんだが、42.195キロを走ったことはない。
開催日は約4カ月後の23年2月19日で、ちょうど甫美さんの誕生日。
それを聞いた甫美さんは、冗談半分でこう言った。
「誕生日プレゼントはいらな…